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亜 鉛

1.亜鉛の働き

亜鉛(Zn)は体内に約2g含まれます。亜鉛は広く細胞全体に存在し 働きは DNAや蛋白質の合成に関与しています。

血漿中の亜鉛は ほとんどアルブミンなどの蛋白質と結合していて 免疫機能に関係します。
また 糖代謝にも必要で インシュリンの合成や作用発現に必須のミネラルです。

所要量は 鉄と同じくらいとされていますが 尿や汗の中に排泄される量は 鉄の十倍も多く ダイエットや運動によって不足しがちになります。また加齢によっても 尿中の排泄量が増えます。

亜鉛はDNAや蛋白質合成に関係している細胞分裂に必要なため 不足すると免疫機能が低下します。

植物性蛋白質と一緒に摂ると 吸収が促進されます。 

推奨量 18~29歳男性9mg 18~29歳女性7mg
上限量 18歳以上30mg

2.亜鉛が多く含まれる食品

牡蠣・レバー・ウナギ・カシューナッツ・たらこ・ホタテ・アーモンド・高野豆腐・
さんま・ささみ肉・
アルファルファ

3.亜鉛が不足すると?

子供では 成長障害・鉄欠乏性貧血 
大人では 皮膚炎・脱毛症・味覚障害・インポテンツ などがあります。

亜鉛を取りすぎる(2g以上)と急性中毒をおこします。ただし取りすぎることはまれで通常、過剰症になることはありません。 

亜鉛はタンパク質をアミノ酸に分解する大切な酵素の材料でもあります。
また、体内でできる炭酸ガスを炭酸に換え、生体内を常に弱アルカリに保つのに必要な酵素の材料でもあります。

核酸(DNA)合成酵素やその他たくさんの酵素の材料で、細胞の修理や修復に欠くことができません。それゆえに僅かの不足が免疫力の低下を招き、逆に十分な量の亜鉛がとられれば免疫力は高まるのです。毎日の不足を補うために良質なサプリメントを使うのも賢い方法のひとつです。

4.亜鉛不足は全身障・インポテンツにご用心

亜鉛は男性ホルモンミネラル
亜鉛はテストステロン(男性ホルモン)の代謝に不可欠の栄養素です。また、亜鉛の不足は前立腺の障害を招きます。

最近の報告では、この亜鉛は精液の中に多量(19.5mg/dl)に含まれ、尿でも1日の排尿中に0.045mg±0.015mg含有されています。1回の射精量5mlとしますと1mgを排出することになります。これは、莫大な量です。

亜鉛は、1日9mgが必要とされ、鉄と同じように補給に心がけねばなりません。亜鉛を大量に含んだ食べ物としては、 緑黄色野菜・カキ(貝)などがあります。しかし亜鉛はセックス専用の栄養素ではありません。腎臓にも不可欠であるし、網膜にとっても重要です。

亜鉛の不足によるインポテンツや性欲の減退が見られた時には全身の障害を疑っても良いのです。中でも腎臓病患者の70%はインポテンツと言われるくらいに高い相関を示します。

一度生じた障害を取り除いて機能を正常に戻すには、時間がかかります。日頃から不足に陥らないように、毎日の食事を心がける事が大切です。病気になってからでは遅すぎます。生命の鎖は亜鉛だけではありません。亜鉛が足りない、カルシウムが足りない、と言うと単一のカルシウム製剤、亜鉛製剤で補うことを考えますが、ビタミン・ミネラルの単一製剤は自然のバランスを崩し、かえって害になります。

総合的に含まれる、魚介類、緑黄色野菜、海草など自然の中からつとめてとり『生命の鎖』を太く丈夫にしたいものです。自然界が作り出したバランスのとれた、マルチミネラル・マルチビタミン、として天然の乾燥アルファルファを原料にした粒状のサプリメントはスーパーベジタブルといえます。

アルファルファ粒には100g中亜鉛12mgと豊富で亜鉛の補給に最適です。

5.亜鉛不足の実験

デトロイトのウェイン・ステイト大学教授、プラサド医学博士が51歳から65歳までの、5人の健康な男性を対象に行った興味深い実験があります。完全な食事管理を行って、1日わずかに1ミリグラムの亜鉛不足の食事を6ケ月間続けました。

亜鉛の必要量は1日8ミリグラムから10ミリグラムと言われていますから、1ミリグラムというのは、影響があるとは考えられない微量です。だが博士はその微量の不足が、性能力に影響を及ぼすと考えたのです。 

その結果、5人中 4人の精子数が減少し、5人中 5人のテストステロン(男性ホルモン)量が低下しました。しかも精子数の減少した4人のうち3人は不妊点を下回る激減ぶりを見ました。その状態では当然ながら、被験者達はインポテンツを訴えました。

そこで正常な食事に戻し、さらに130ミリグラムの亜鉛を補った結果、5人が正常に復するのに、16週から20週要したと、プラサド医学博士は報告しています。

6.骨粗鬆症・・・亜鉛に改善効果

亜鉛はカルシウム吸収促す

科学技術庁放射線医学総合研究所は民間研究機関と共同で、ホルモンの異常で骨がもろくなる「骨粗鬆症」の治療に微量ミネラルの亜鉛が有効であることを、人間と似た症状を示すラットを使って発見した。

亜鉛に骨形成の促進効果があることは健康な実験動物では確かめられていたが、骨粗鬆症の改善効果が認められたのは初めて。研究グループはまず、ラットから卵巣を取りだし、亜鉛を全く含まないえさを三カ月間与えて骨粗鬆症のラットを作った。

この病気のモデルラットに飼料一キロ㌘当たり1~15ミリグラムの亜鉛を三カ月間与えた後、骨の密度や頑丈さを計測した。その結果同50ミリグラムを与えた個体が最も治療効果が高く、亜鉛が欠乏している個体に比べ、骨密度が約1.8倍になった。

さらに約1.6倍程度の荷重にも折れずに耐えられるようになったという。研究グループは尿中へのカルシウムの排出量が減ることを確かめており、亜鉛がカルシウムの吸収を助けて骨を丈夫にしているとみている。

7.亜鉛と味覚異常

亜鉛と味覚異常の関係はこうだ。舌には、味蕾(みらい)と呼ばれ、花の蕾(つぼみ)のような形をした小さな器官が多数あり、味を感じ取る。亜鉛は、細胞の入れ替わりに必要な働きをしており、体の中では新陳代謝の激しいところに多く含まれる。
味蕾もその一つで、亜鉛が欠乏すると細胞の若返りができず、味覚異常につながる。

8.免疫機能を助ける亜鉛

亜鉛はいくつかの方法で、免疫システムが細菌をやっつけるのを手伝います。まず、ヘルペスや風邪の原因であるウィルスが持つ増殖して感染を広める能力を、直接的に働きかけて弱めます。
さらに、侵入してきた病原菌を発見して破壊する免疫細胞の働きを促進して、免疫システムの大事な機能を支えます。また、亜鉛は活性酸素が細胞に与える悪影響を制限する抗酸化反応にも関わり、ビタミンAとともに白血球が体内の細菌を攻撃するのを手助けします。

9.亜鉛だけでなく他のミネラルとのバランスが大切

亜鉛や他のミネラルもそうですが、摂取過剰と摂取不足で生じる疾患もあり、すべてのミネラルも栄養素も、多過ぎても少な過ぎてもいけないわけで、適当な量を摂らなければいけません。
単独のミネラルを補給することは専門家の管理の元に行うべきで、自己防衛の為、食生活のサプリメントとして補う場合、バランス良く他のミネラルを含んだアルファルファなどから補充することが良いでしょう。