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納豆菌と腸内細菌(4)

1.ビフィズス菌を増やす納豆菌BN株
自らが善玉菌となって悪玉菌をやっつける納豆菌と同時に、ビフィズス菌など他の善玉菌を増やしてやる。そんな力が納豆菌BN株にあります。摂取する納豆菌は胞子状になっていますからとても安定していますし、胃酸に出会っても簡単には死ぬことはありません。その菌が胃を通り、あるものは途中で分裂繁殖し、あるものは胞子の形のまま腸に達する。その数も何億、という単位だと思います。 これは納豆を食べたときではなく、納豆菌の製剤を飲んだときのデータです。 もっとおもしろいのは、こういう納豆菌をたくさんとらせてやると納豆菌をとらない人に比べて、乳酸菌が10倍ぐらい増えるということです。乳酸菌とか、常在細菌、お腹に非常にいいと思われている菌に対しては、納豆菌はそれを抑えるのではなく、むしろ増やしていく。納豆が昔から薬として使われてきたというのは、こういうようなところに非常にいい効果を持っていたからです。 腸の中には、善玉菌から悪玉菌に至るまでさまざまな腸内細菌があり、それらが相互に作用しながら、各種の酵素を製造したり腸の中の清掃を行なったりしているのです。納豆菌はそれらの善玉菌と共同して、特殊な酵素を作り出し、その酵素の力で便秘や下痢などで発生した腐敗菌を殺し、善玉菌を増やしています。これが現在推定されている納豆菌の整腸作用のしくみです。酵素と言えば、納豆菌の酵素作用は、すでに医学で実用化されており、消化剤が精製されていることからも、納豆菌の発揮する酵素の力は推測できます。
2.ポイントは善玉の腸内細菌

「腸内細菌」といいますが、この言葉になじみのない方のために、簡単に説明しておきましょう。「細菌」という言葉だけを見ると、チフス菌とかコレラ菌のような悪い細菌を想像されるかもしれませんが、細菌は細菌でも腸内細菌は感染症を起こす菌とはおおいに異なります。腸内細菌とは、腸の中に棲み、さまざまな働きをしている菌のことです。

腸の中には約300種、100兆ほどの腸内細菌がいると言われ、それぞれがホルモンを作ったり、ビタミンや酵素、ミネラル、タンパク質などを構成しながら、腸の活動を調整し、人間の生命維持活動を行なっています。 その腸内細菌の中で、人間の健康にとってよい働きをするものを善玉菌(有効菌)、悪い働きをするものを悪玉菌(有害菌)と呼んでいますが、納豆菌やビフィズス菌、ヤクルト菌、酵母菌などが善玉菌の代表です。

反対に悪玉菌の代表と言えば、腐敗菌でしょう、この腐敗菌が便秘や下痢の原因になり、はたまた便秘や下痢を長引かせる大きな要因になり、腐敗菌の代名詞とも言うべきウィルシュ菌に至っては、タンパク質を分解して発ガン物質を作ったり、老化を早めたりすると言われています。

悪玉菌が増えると、善玉菌が減ってしまう

このことでも、悪玉菌がいかにやっかいなものであるかが想像できると思いますが、問題は悪玉菌が増えると善玉菌が減ってしまうことです。そして健康に悪いさまざまな物質を発生させます。さらに肝不全の誘因になるアンモニアや硫化水素、アレルギー疾患を引き起こすヒスタミン、そしてインドールやフェノールという発ガン物質がよく知られていますが、そのような誘因物質を作らせないためにも、善玉菌を増やしてあげなければならないのです。

腸内微生物でとくに重要な役割を果たしているのがビフィズス菌です。はじめビフィズス菌は母乳栄養児の便から発見され、長い間乳児のお腹の中にしかいないと思われていました。ところが、いまではビフィズス菌にもいろいろな仲間がいて、それらが成人や動物のお腹の中にも棲みついていることがわかったのです。

3.納豆菌BN株は免疫力の向上を促す
納豆菌の抗菌性の主成分とも言われる「ジピコリン酸」という成分は、金属イオンと結合する力が強く、放射能を持ったストロンチウム90やコバルト60などと体内結合をして、外に排出してくれる働きがあると言いますから、納豆菌の成分には免疫力の向上を促すと同時に、体質に合わないものを排出して体質を変える働きがあるのかもしれません。これらの他にも「二日酔いにならない」とか、「納豆菌をエサに混ぜた牛が丈夫になった」とか中には「アトピー性皮膚炎が経癒した」という例もありますが、腸内微生物の善玉菌の活躍が正常ですと、肝機能も活発に働き皮膚のつやも良く二日酔いにもなりません。牛にも良いというのは、牛の腸内善玉菌の活動が活発になる当然の結果だと思います。