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1.強力な抗ピロリ菌活性
ピロリ菌は胃・十二指腸疾患の発症に関与する細菌として知られています。ピロリ菌陽性患者において本菌を除菌することで著明な病態改善が見られ,NIH(国民健康保険)よりピロリ菌陽性の全ての消化性潰瘍疾患に除菌を行うべきであるとのコンセンサスが示されています。その除菌療法が注目を集めている。現在,抗生物質とプロトンポンプインヒビターなどの組み合わせによる除菌療法が行われていますが,これらの療法では大量の抗生物質(2種類)を使用することによる副作用が懸念されており,これらに取って代わる副作用の少ない薬剤が望まれてきました。最近の研究により納豆菌体内に強力な抗ピロリ菌活性が認められることが分かりました。

ピロリ菌は胃・十二指腸潰瘍だけでなく胃がんの発症にも関与するとも言われていますので、納豆菌を取る習慣をつけることでそのような病気にならない体を作ることができるかもしれません。そうなれば現在のピロリ菌除菌療法も見直され、医療費の削減にもつながりますね。


参考・引用文献

納豆菌体のジピコリン酸含量,および強力な抗ピロリ菌活性

倉敷芸術科学大学生命科学部 生命科学科 須見洋行 矢田貝智恵子 池田志織 大杉忠則 宮崎大学医学部 機能制御学 丸山 真杉

Hayashi, K., Yamaguchi,H., Osaki, T., Taguchi, H. and Komiya, S.:マウス感染モデルを用いたTY-50060,TY-50158のHericobactor pyroliに対する除菌効果の検討,無菌生物,28:72-74, 1988
2.唾液抗菌作用をサポート
納豆菌は腸の中で悪玉菌を鎮める力(有害菌生育抑制作用)や粘膜を保護し腸を整える働き(整腸作用)など腸内で働く健康に有益な菌と考えられてきた。最近の研究では悪玉菌毒素に対抗する力(プロテアーゼ活性)や免疫系を高める力(白血球機能向上)なども立証されている。腸内と口腔内は身体の中では共に消化器系として兄弟関係にあり,多数の菌が生息し(常在菌叢を持つ)粘液性の分泌液で常に潤っている。

日本歯科大学新潟生命歯学部生化学講座 螺良 修一先生は腸内に効果があるのなら口腔内にも一定の効果が期待できるかもしれないと仮説を立て,枯草菌(分類上「特殊納豆菌」と命名されている)含有洗ロ液を用いた抗歯周炎効果を検討し研究されています。結果、納豆菌含噺を1カ月続けた症例では,歯肉腫脹の改善が認められており、納豆菌の抗菌作用は腸内だけでなく口腔内でも発揮されることが分かりました。例えば普段の食事などで納豆を食べる時はよく噛んで、口の中に一定時間とどめてから飲み込むことで納豆菌の抗菌作用を効率よく生かすことができるのではないでしょうか。


参照・引用文献

1)唾液抗菌作用を食品成分でサポートする~納豆菌を用いた抗歯周炎効果の検討~

螺良 修一 日本歯科大学新潟生命歯学部生化学講座 宇都宮市・螺良歯科医院

2) Paccez JD, Nguyen HD, Luiz WB et al. Evaluation of dif-ferent promoter sequences and antigen sorting signals onthe immunogenicity of Bacillus subtilis vaccine vehicles. Vaccine i 25 : 4671 一 80. 2007.

3) Brunt J, Newaj-Fyzul A, Austin B. The development of probiotics for the control of multiple bacterial diseases of rainbow trout, Oncorhynchus mykiss (Walbaum). J Fish Dis ; 30 : 573 一 79. 2007.