文字サイズ変更
  • 標 準
  • 拡 大
お薦めBookの要約集
がんに関する情報

体温免疫力 体温と免疫の関係要約

(安保徹著 株式会社ナツメ社)

序章 人生は免疫細胞に支配されている

体温の低い人は、たとえ自分で気付いてなくても、体のバランスが崩れて免疫力が低下しています。又夫婦、あるいは家族が同じような病気にかかるのは、似たような物を食べ、似たような生活を送っていることや、遺伝的な体質や、同じ住環境などが理由ではないかといわれています。

しかし本当の原因は、心理的負担が低体温を招くからです。
よい姿勢は血液循環が滞りなく行われ、筋肉を均等に動かすことで血の巡りがよくなり体温が上がり代謝が活発に行われるのです。

体の冷えは低体温の原因になるので健康の大敵です。女性が健康で長生きしたければ冷えないように気をつけることです。

第一章 病気と闘う免疫の仕組み

私たちの体の免疫システムは【自然免疫】と【獲得免疫】と二つのシステムが連動し順調に作動することによって健康が保たれるのです。生命維持に不可欠な機能を維持し、コントロールしているのが自律神経で、交感神経と副交感神経の系統があり、脳の視床下部から指令を受けて、状況に応じた働きをします。

交感神経優位の時は顆粒球が活発化し、副交感神経優位の時はリンパ球の働きが活発化します。私たちの体をウイルスや細菌から守る免疫システムの要は白血球であり、【リンパ球】約35%【顆粒球】約60%【マクロファージ】約5%に大きく分けられ、さらにリンパ球は【T細胞】【B細胞】【NK細胞】など個性的な働きを持つメンバーに分類されます。

私たちの体に最も多く侵入してくるのが細菌です。その細菌との戦いを専門にしているのが顆粒球なのです。寿命は2~3日で、闘った後は膿となります。

リンパ球は微小な抗原を相手に戦います。指令を出すヘルパーT細胞、敵と直接闘うキラーT細胞、抗体を作って闘うB細胞と役割を分担し、連携して闘います。貪食能を持つNK細胞や胸腺外分化T細胞は単独で細胞を監視しガン化した細胞など変異した細胞を処理します。

ウイルスなどが体内に侵入するとマクロファージがT細胞にウイルスの侵入を知らせ、T細胞はB細胞に指令を出し応戦します。B細胞は対戦相手のデーターを記憶したまま 休息に入り、二度目にウイルスが侵入すると指令がなくとも応対して抗体を生産して発症させることなく治めてしまうのです。

エイズウイルスはヘルパーT細胞をターゲットにし遺伝子レベルで侵入しその働きを閉じ込めます、従ってキラーT細胞やB細胞が働かず対抗することが出来ません。

アレルギー疾患は免疫システムの誤作動の結果なのですがリンパ球が過剰になる傾向があり副交感神経が優位になり僅かな刺激や異物に対して過敏になりアレルギーを起こすことになるのです。

何でも滅菌・殺菌という公衆衛生上の過剰な防衛が人の免疫システムに異常をきたしているのです。過剰に衛生的な生活と都会型の生活で副交感神経有意のリンパ球人間が増えたことがアレルギー人間の増加に繋がっているのです。

第二章 低体温が病気をつくる

人は大体37.2℃の体内温度を持っており、表面温度としては舌下で36.6℃、脇下で36.2℃
位が平熱となります。病気という病気の全てが体温の低い状態で起きています。

立ったり、座ったりという活動は、重力に逆らっているので、それなりの体温が必要です。病気の人は活動できるだけの体温が得られないので動くことが出来なくなります。しかし人が生存できる最高体温は45℃です。

冷えは西洋医学では病気として捕らえていません。東洋医学では冷えると病気になる、暖めると病気は治る、健康が維持できるという考え方をしています。

自律神経が体中の細胞を支配しており、交感神経と副交感神経の交互の働きで均衡状態に保たれますが、交感神経が優位になると血管が収縮して血流が悪くなり、体温が下がり、副交感神経が優位になると、血管が拡張して血流が悪くなり、体温が下がり、どちらの神経が極度に優位になっても体のバランスは破綻して、低体温になり様々な病気を招きます。

血流量などの体内調整は、自律神経だけで行われているわけではなく、内分泌系(ホルモンの分泌)それに免疫系という調整システムが三位一体となって行なわれています。

ストレスがあると交感神経を緊張させてしまうので低体温の原因になります。
余り數が変動しない顆粒球と違い、リンパ球は増減が激しく、大きく変動するときは低体温になって体調不良の時という事になります。白血球の戦力の目安は約1,800です。

発熱はバランスを崩した体内をメンテナンスしていると考えればよいでしょう。ひきつけや痙攣も血流改善のための防御反応なのです。

第三章 発熱させて病気を治す

アトピー性皮膚炎の治療にステロイドが処方されますが、これは根本的に治療するのではなく、皮膚の炎症を改善するに過ぎないので、短期間の使用では問題がないが、長期間の使用では使用量が増えて行き、毎日使用しなければならなくなり、副作用が現れてきます。

長く使用していると皮膚組織にコレステロールが沈着して酸化変性してしまい、皮膚に蓄積されることになります。酸化物質の刺激で交感神経緊張状態になり顆粒球が増えて皮膚組織に侵入して炎症が起きるのです。

ステロイドの使用を急にやめると、強いリバウンド反応が出て、よりひどい症状が現れますが、再度使用を行わず克服しない限り悪化の道を断ち切ることは出来ません。

リバウンドは、免疫が体に沈着した酸化変性コレステロールを体外に排泄しようとして起こるもので、体を冷やすと腫れやかゆみは一時的に止まりますが血管が収縮し血行が悪くなり、コレステロールの排出が出来なくなります。

ですから体を温めて免疫の活性を高め血流をよくする必要があります。入浴などが効果的です。五年間塗り続けていたら、一・二年は離脱に掛かることを覚悟してください。

アトピー性皮膚炎はアレルゲンに触れない限り症状は現れないのでアレルゲンを特定することが大切です。水道水の塩素、野菜などについた農薬、ハウスダストやペットの毛やふけ、ダニ、花粉など原因物質がわかれば、それなりの対策が立てられるものです。

今、ガンの治療法として注目されているのが、温熱療法です。ガン細胞は通常の細胞に比べて、熱に弱いことが知られてきました。ガンと同様、エイズウイルスも熱に弱いことが知られています。

麻酔をして42度の体温を3時間維持させたところエイズウイルスの數が半減したことが判明しています。体温が上がれば交感神経と副交感神経のバランスが戻り免疫力がよみがえってきます。

どの程度の体力があれば発熱に耐えられるかというと、リンパ球の割合が10%以上残っている状態が目安となるでしょう。自分で立って歩けるならばよいといえます。

早期発見、早期治療が叫ばれていますが、かえってガンを生み出しているといえます。ガンは一度出来ても免疫力が高い状態ならば消滅し、免疫力が落ちていれば復活してしまうので、待機中に身体を休めて免疫力をアップさせればガンが消えてしまう可能性がかなりあるということ、又もう一つは精密検査を待つ間、患者が恐怖におびえ、交感神経が極度に緊張するので、リンパ球が減ってガンが成長してしまうからです。

手術療法はガンが大きく成長し、周りの臓器を圧迫している時等これを取り除いてやることは必要ですが、不必要な部位まで大きく切除したり、リンパ節を綺麗に取り除いてしまう必要はありません。

抗癌剤による治療と放射線療法は、ガン組織だけでなく、正常な細胞まで大きなダメージを与えてしまいます。その結果、交感神経が極度に優位になり、身体は冷えリンパ球は少なくなって治るガンも治らなくなります。

モルヒネはリンパ球を非常に減らしてしまうので最期の最期まで避けたいところです。抗癌剤の低用量療法を行うことで、リンパ球が下がらないどころか、むしろ上がっていくことが判り、このようなリンパ球の動きを考慮した試みがどんどん生まれてくるでしょう。

発ガンには肉体的・精神的なストレスが最も強く影響しています。顆粒球過剰の状態で発生するので、リンパ球を増やしてバランスを戻してやれば発生を防げるのです。

疲れたら適度に休養を取り気持ちにゆとりを持って生活する事です。いつも無理をしていると、身体のバランスが戻らないまま無理が積み重なって、最終的にガンなどが現れてきます。

ねずみにガン細胞を注射して発ガンさせる時,千や二千個の細胞ではリンパ球にやられて、発ガンしません。百万個注射しなければ発ガンしません、これで分かる様にガン細胞は強い細胞ではなく怖いものではないのです。

身体を冷やさないよう入浴などで身体を温め、野菜やキノコ、海藻などを食べて副交感神経を出来るだけ高めてやればガンなどは防ぐことが出来るのです。

エイズウイルスは人に感染するとヘルパーT細胞に潜り込んで、遺伝子に自分の遺伝子を組み込んでしまい、ヘルパーT細胞は本来の働きをすることが出来なくなります、エイズウイルスはヘルパーT細胞内で増殖し、細胞の外に出て、他のヘルパーT細胞に潜り込むのです。

外敵侵入を攻撃細胞に知らせる司令塔の役割が失われるので、免疫の働きが破綻してしまいエイズの発病へと向かうのです。此処で体温を39度に暖めるとエイズウイルスの印を細胞の外に出すので免疫が外敵とみなして攻撃するようになり、ウィルの数が減少し治癒に向かうことになります。

 

第四章 血流不足が慢性疾患をつくる

腰痛や膝痛のスタートは少しハードに動いた後に休んだときで、激しく使うと筋肉に乳酸などの疲労物質がたまり血流が悪くなる。すると血流を改善しようとプロスタグランジンという血管を拡張させる物質が増えます。この物質は発熱や痛みを起こす物質なので、赤くはれたり痛みが起こります。

消炎鎮痛剤はこの産生を阻害して血管を閉じてしまう薬ですから修復が出来ず薬が切れると痛みは続きます。一時的に使用する程度にしましょう。

治療は入浴などで身体をよく温め、軽い運動などをして血流をよくして修復作業を助けてやればよいのです。コルセットやサポーターは血流循環を阻害するのであまりよくありません。

五十肩は片側を下にして寝るために型や腕が圧迫されて血流が悪くなり、関節の組織に支障をきたしているのであるから、仰向に寝ることを心がけ同じ方向に偏らない寝方をすればよいのです。

更年期障害もエストロゲンが減ることで交感神経優位になり血流循環がスムーズに行かなくなるためですが、ストレスが大きな原因になっていると考えられます。

冷えから身体を守ることが対策の第一歩でストレスの軽減に努めることが最善の方法です。女性ホルモン補充療法などはステロイドと同じく長期使用の副作用が生じるのでよくありません。

リュウマチの原因はストレスや感染症などで、その分部に炎症が起きて、増えた顆粒球によって組織が破壊される、免疫系が修復するように働くので発熱が起こる、そこで自己応答性のリンパ球が増え、過剰に反応して自分の組織を攻撃するのではないかと考えられます。

攻撃するといっても、破壊されて正常でなくなった組織を排除しようとする反応なので決して悪いことではなく、治療に向かっていることを意味します。

病気で全身が侵されるのではなく、その場その場で症状だけに対処している結果として、沢山の病気を抱え込んでしまいます。入浴などで体温を上げストレスから脱却することがもっとも重要なポイントになります。

降圧剤のほとんどは全身の血流を減らして圧力を下げていますので、血流障害による様々な問題が起きてきます。血流障害で低体温になると腱鞘炎や色々な病気に掛かる可能性があります。

血圧を上げるもっとも大きな原因はストレスなのですから、心身をゆったりとさせて過ごすことが治療法といえます。

糖尿病は頑張り屋が多いものです。言うまでもなく交感神経が緊張しています、筋肉に沢山のエネルギーを送り込むために、エネルギー源であるブドウ糖が血液中に増えて血糖値が高くなります。

ストレスが続いて慢性的に交感神経が緊張していると血糖値が上がり続け、副交感神経の働きが抑えられてインスリンの分泌が低下し糖尿病になるのです。

血糖値を下げる薬を使うのもやはりよくありません。膵臓のβ細胞を刺激して分泌を促すもので、強制的に高めているのですから、β細胞は疲弊してしまいます。

カルシウムを多く取っている欧米人に骨粗鬆症が多く、摂取量の少ない日本人に少ないという事実から骨粗鬆症はカルシウムの摂取量には相関していないといえます。

骨を丈夫にするにはカルシウムだけでなくビタミンDや運動による骨への負荷が欠かせないのです。骨に負荷がかかって初めて骨にカルシウムがつくのです。

小魚や豆腐、魚介類など日本の伝統的な食材を取り、牛乳は無理して飲む必要はなく、嗜好品として美味しく飲む範囲で摂る事が大切です。

水虫は白癬菌というカビの一種に感染して起こる病気です。血流改善はもとより、患部の湿度を低める努力が必要になります。

下駄、草履、サンダルなど風通しのよいもので過ごすようにしましょう。

皮膚に出来た炎症は原因が水虫やカンジダなどのカビにしても、細菌にしても、血流障害を直してやれば大抵自分で退治できます。

睡眠と覚醒のリズムは交感神経と副交感神経の相互関係で成り立っていて、副交感神経が働いていないと睡眠には入れない仕組みになっています。心身をリラックスし、睡眠に適した環境にすることです。

不眠対策は出来る限り各種の薬の服用をやめることです。
肩こりは首を支える筋肉の緊張で起こるのですが、心理的なストレスよりも同じ姿勢を長く続けていたなど物理的な原因によることが多く、身体を休め軽く体操をするとよくなる。

蕁麻疹はアレルギーの一つでリンパ球の多い人に起き易い。外から入ってくる異物に対して起こるだけでなく、心理的なストレス、連想や暗示によるストレスでも起こります。

虫歯はストレスが切掛けでできます、唾液の分泌は副交感神経の支配を受けており、唾液が多いと細菌の排除に働き、細菌はそれほど繁殖できません。ストレスがあると交換神経優位になって副交感神経が抑制され、唾液の分泌が少なくなり細菌が繁殖するのです。

歯周病はさらに強くストレスの影響を受けています。増えた顆粒菌が口中の常在菌と戦い膿をつくります、悪化して膿がたまり歯骨まで達したものが歯槽膿漏です。

ストレスがあれば増えた顆粒球の影響で様々の肌のトラブルが起きます。にきびも同じことです。ストレスが続くと肌荒れや吹き出物に加えて便秘と冷え性がワンセットで表れてきます。肥満もストレスから低体温を招きますから、食事制限だけでなく運動により体温を上げてやることが必要で、食事制限と運動のワンセットでなければなりません。

体温を上げるという面では入浴が効果的です。入浴自体にエネルギー消費効果があり、体重1kg当り0.06kcal/分といわれています。いま体重50kgの人が10分入浴すると30kcalを消費することになります。ダイエットには一石二鳥といえます。

脂汗を流すほど痛む時には薬で痛みをとり、楽になったら薬はやめ、我慢できる範囲ならそのまま過ごす。こうやってうまくコントロールして、自然治癒に向かうことです。

第五章 実践・自分で鍛える体温免疫力

身体を温め副交感神経を刺激して心身をリラックスさせるためには、湯船に入ったとき気持ちよいと感じることが大切です。

大体体温プラス4度が最も快適に感じることが分ってきています。快適と感じる温度が異なるときは、熱い湯が快適という人から入浴するなどして、自分にあった温度での入浴を心がけてください。

冷え性の人は体温の上昇速度が遅くなりますが、毎日10分間入浴を続けていると体温がはやく上がるようになり、代謝がよくなり、血液循環が良くなり、リンパ球が増え、免疫力が高まってきます。

皮脂は皮膚の皮脂腺から分泌される脂分で皮膚全体を膜のように薄く覆うことにより、皮膚組織の水分が蒸発しないように守っているバリアーの役割を持っています。

乾燥肌の人は低体温になりがちで乾燥したかさかさした皮膚表面に細菌やホコリの異物がついて刺激し皮膚のトラブルが起き易くなります。従って、石鹸で身体を洗うのは一週間に一度ぐらいでよく、年寄りは一ヶ月に一回でよいでしょう。

髪等もお湯だけを使い、シャンプーの使用は出来るだけ避けましょう。使うなら固形石鹸を使うことです。液体洗剤は化学添加物が多く流しても成分が残って肌を刺激してしまいます。

立ち仕事で長時間立っている人は、意識して横になる時間を増やす必要があります。重力に常に逆らっているだけにエネルギーの消費が大きく、その負担から開放される時間を作ってやらねばなりません。体操やウォーキング、階段を上るなどで重力になれておくことが大切です。

よい姿勢で居ると重力を骨で受け止め負担が最小限で済みますが、肩を落とした悪い姿勢では重力の一部を筋肉が受け止めなければならないので疲れます。

呼吸は、息を吸うのは交感神経、息を吐くのは副交感神経が担当して自律神経によってコントロールされているが唯一意識してその働きをコントロールできるもので、早くしたり、遅くすることが出来るものです。

大きく息を吸い、ゆっくりと息を吐くことで副交感神経が働く時間が長くなりリラックスできることになるのです。

消化管は副交感神経が支配しているので、胃腸に長くとどまる玄米食を取っていると血行がよくなります。野菜や海藻、キノコ類もビタミン、ミネラルのほか食物繊維が豊富なので免疫力がアップします。

胡椒やわさび、しょうが等の薬味は副交感神経を刺激して胃腸を活性化させますが、体にとって摂取すべきでないものをはやく排泄してしまおうという反射反応ですから、取りすぎないことです。漢方薬の苦味なども反射反応の活用で効果を持たせたものです。

ビールなど冷やして飲む習慣はアメリカから伝わったもので、西欧にはない習慣です。
暑い時期に冷たいものを取ることはよいが、身体を冷やしてしまうので、温かい飲み物を飲むようにしましょう。

健康に生きてゆくためにはストレスへの対応が絶対に欠かせません。排気ガス、大気汚染、水質汚染など物理的なストレスは避けられませんが、人間関係、仕事、競争などにおいて肉体的にも精神的にもなるべく穏やかに生活することで【自分が居ないと仕事が進まないと風邪を引いても、疲労困憊していても、がむしゃらに働くのでなく。自分がいなくとも、地球は回るとおおらかに考えて、疲れたら休むようにして、ストレスから開放されましょう。】